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インタビュー

Vol.05 オケタニイクロウ ポッドキャストは仕事をとるためのツール

ポッドキャストに関わる様々な方にお話をうかがう「Podcast界隈」。第五回目は、ポッドキャスターのオケタニイクロウさんをおむかえしました。

オケタニさんは、「オケラジ!」、「Gimmick Talk-ギミックトーク」を配信され、また元GO-BANG'S森若香織さんのトーク番組「森若香織のPodcast」のプロデュースなどでも活躍されています。

ポッドキャストは仕事をとるためのツール

芝居をやられてるんですよね。まず、芝居との出会いを教えてください。

大学行ってたころは、役者、舞台をやっていたわけではないんですね。普通に麻雀したり、パチンコしたり、典型的なアカン大学生だったんですけど、たまたまバイト先のハーゲンダッツで、30分に1回タップダンスのショーがあったんですよ。

アイスクリーム屋さんでタップダンスというのはイメージできないですね。

これが説明しても、みんなそんなハーゲンダッツないって言うんですけど。 そこでタップダンスされてるのは従業員じゃなくて、小劇場の役者やったんですよ。そのつながりで演劇というものを初めて見に行ったんです。それが出会いですね。で、見に行ったらすっごい面白かったんですよ。

それは何が面白かったんですか。

全部。なんでしょうね、面白かったのは面白かったんですけど、ショックだったんですよ。普段バイト先で普通に喋るやないですか。年も近かったですし。自分が麻雀したり、パチンコして時間の無駄遣いをしている間に、こういうことをやってるんや。人前でお金をもらってやることがスゴイなというのと、自分は何やってるねんっていうショックがあって、これオレもやりたいなと思ったんですよ。間違いなくオレはこの人たちよりも面白くできるわという、根拠のない自信がものすごくあって。

初めて見た劇団の次の公演に出させてもらって、全然出来なくて、1ヶ月で7,8kg痩せたんですよ。演劇との出会いはそんな感じですね。

それが20歳くらいですか。

21くらいですかね。

それまでは、衝撃が走るようなやってみたいことに出会ってはなかったんですか。

高校生の頃は、吉本の養成所NSCに行きたかったんですよ。高校がそこそこ進学校だったので、吉本行ってる場合ちゃうわという感じで普通に大学に行ってしまうんですけど(笑)。

でも、人前で何かやることには興味があったんですか。

めちゃくちゃありましたね。ただ、演劇という手段は思いつかなかったし、お笑いやりたかったのに、お笑いやらなかったんだから、二度と人前に出たらアカンっていう風に思っていました。

芝居をやられて、いずれポッドキャストと出会うわけですね。

パソコン、インターネットを始めたのが3年前だったんですよ。2005年の夏ですね。それまではネットを嫌ってたんです。演劇の勉強会をやるときに、友達が告知用にブログ作ってくれたり、ヤフーのメールアドレスを取ってくれたりしたんですけど、その意味もわからなく、漫画喫茶で店員さんに「ヤフーやりたいんですけど」みたいなワケのわからんこと言ったぐらい。 そのうち、ネットラジオとかできないかなと思って調べたんですよ。

なにか喋りたかった?

もともとラジオをやりたかったので。ポッドキャストなんて言葉も知らなかったし、サービスとしてはケロログで始まってる時期なんですけど。最初ビデオで配信したかったんです。テレビみたいなことをやりたかったんですけど、ビデオをネットで配信する技術なんか知らなかったんで、カメラでトークを撮影して、それをDVDにして友達に配ってたんですよ。それが2005年の3月ごろなんですけど、そんな経緯があったので、ラジオみたいなことができないかなと思って調べて、ポッドキャストというのを知ったという感じです。

もうこれやろうと。

そうですね。やろうと思って何番組か聴いたんですけど、これ間違いなく有名になれるんちゃうかなと。みんな相当ひどいぞと思ったんです。

なにがひどいんですか。

全部ですね(笑)。なにこれひどいなと。これだったらオレもすぐ一番になれるぞと。

それで2005年に始めたんですか。

オケラジ!はそうですね、2005年の秋頃ですね。

長尺にこだわってるようですが、その理由とは?

ポッドキャストを始めた理由がいくつかあるんですけど、ラジオが好きやったというのと、役者3人でやってるので趣味でやってもあまり意味がないなと思って。なので、ポッドキャストは仕事をとるためのツールやと思ってるんです。5分の番組やっても、ラジオでそんな番組ないですし。 トーク番組って短くても30分ぐらいじゃないですか。オールナイトニッポンに至っては2時間とか。仕事をとるためなので、短かったら意味がない。

仕事というのは芝居の仕事ですか。

ラジオですね。

ラジオの仕事やりたいから、ラジオのオファー来てくれないかということですね。

そうですね。そんな意味合いです。

オールナイトニッポンはほとんど聞いたことがなくて、ボクも関西なのでヤンタン(MBSヤングタウン)ばっかり聞いてました。

ボクもずっとヤンタンでしたね。録音して毎日聞いてました。

ボクも、のぶりん(原田伸郎さん)とかよく聞いてました。

うわー、世代を感じますね(笑)。ボクはさんまさんとかダウンタウンさんとか。

一人で喋れないんですよ

オケラジ!は当然台本ないですよね。

そうですね。

脚本書くこともされます?

ボクはしないです。

演出だけですか。

演出もこないだ初めてやったんで。前からやりたかったんですけど、なかなか機会がなくて。

演出ってボクらもわかってないんですけど、同じ台本でも化粧の仕方で変わるみたいなものかなと?

なかなか演出の説明って難しいですね。

音楽でいうアレンジですね。

そうかなぁ。ボクがホンマにアレンジのことがわかってるのかっていうのがありますけど。なんでしょうね、同じ台本があれば同じ演劇になると思うんでしょうかね。

いえ、ボクはそうは思わないです。音楽でいう演奏者が違ったり、アレンジャーが違うと違うやろうし、音も違うと思うんですね。

そういうことやと思いますね。 でも1回しかやっていないので、あまり偉そうなことは言えないです。

どっちが楽しんですか。舞台で演じるのと演出と。

どっちも楽しいと思います。楽しい方1個を選ぶのではなく、どちらも楽しいからそれでいいと思ってます。まったく別の作業なので。

一人番組ではなく、3人でやるこだわりって何ですか。

それは、一人でやらないのではなくて一人で出来ないからなんですよ、一人で喋れないんですよ。一人でやってるポッドキャスト番組多いですよね。不思議でしょうがなくて。単純に誰に向かって喋ってるのかな。 ラジオで一人で喋ってる方いらっしゃるじゃないですか。一人じゃないですもんね。横には放送作家がいて、ガラスの向こうにはディレクターがいて。それは解るんですよ。一人で部屋で、どんな感じなんやろ。まったく喋れないですよ。

ボクも初めて喋ってみたことがあったんです。やっぱツラかったです。

ツラいですよね。原因はハッキリしてるんですよ。一人で喋ったことなんかないからなんですよ。それは特殊技術なんですよ。でも2人とか3人で喋るのは、人生で何回もやってるじゃないですか。面白いかどうかは別にして、慣れてるじゃないですか。だからボクはそこにこだわるんですよね。やったことないものをわざわざやる必要はないというか。やれることで面白いものを提供すればいいかなって。

で、ボクも2人で喋ってみたんですよ。すると全然違いました(笑)。

そうなんですよ(笑)。

キャッチボールできるから。悪く言えば、ネタに困ったら相手に投げて任せてしまうとか。

もうボクは完全にそのために複数人数にこだわってます。

一番喋ってません?

そんなことないですね。ウチは、宮崎っていうのと鳥居っていうのがいてるんですけど、宮崎にうなづいてもらって、鳥居に笑ってもらおうとやってるんです。それが一人ではできないというか想像もつかないんですよ。

ギミックトークも一人ではなく、ゲストを招いて喋ってますもんね。 私、プライベートでは一人でやってみたりしてます。放置してますが。やっぱツライというか誰に向けて喋ってるのわからないので、なんかメモ的なものになってますね。

ケロログの社長の木ノ川さんという方は、ポッドキャストをたまにやってるんですけど、ケータイから録音してるんですね。それは完全に音声メモですからね(笑)。番組じゃないですからね。

発表当初からウチのソフトを知ってくださってたんですか。

南部さんが記事を書いてたからじゃないですかね。

ExPodについて、率直な感想を伺いたいんですが。

え~、まったくないですね(笑)。興味がないのではなく、もともと音のこだわりがないので。音はよいに越したことはないんですけど。

音がいいというより、簡単に作れることが一番のウリなんですよ。

ExPodが何なのかもまだ、わざと確認しないようにしてたんですけど。録音機材なんですか?

いえ、ソフトです。

マイクがあれば出来るんですか?

そうです。

ならいいじゃないですか(笑)。ボク知ってたらやってましたよ。

今はソフトは何をお使いですか?

Sound Engineです。

Audacityではなかった?

そうですね。最初調べたら二つ出てくるんですけど、Audacityの日本語化の仕方がわからなくて、Sound Engineの方がわかりやすかったので。

2人か3人でやれば盛り上がる

今は、オケラジ!を3人でやられてて、ギミックトークと、あとプロデュースもされてるんですよね。森若さんの番組で。

プロデュースとか言ってますけど、森若さんとやりたかっただけっていう。森若さんは未だに、”ポストキャット”とか”ポートキャット”とか言ってるんで(笑)。”港の猫”ですよ。

ボクらもいろんなところでポッドキャストの説明をするのが、大変で。

ポッドキャストやってますって言うて、「あー」って言われたこと一回もないですよ。それはねぇ、あんたらの勉強不足やと言うんですけど。マイナーなことやってる目で見てるけど、あんたらが知らんだけやって。

ずいぶん番組で怒ってらっしゃいますね。

ハイ。自分の勉強不足を他人のせいにするのが腹立つので。

これは失礼覚悟で言いますけど。番組聴いて、昔好きだった「パペポ」(鶴瓶上岡パペポTV)っていう番組に似てるなと思ってしまったんですよ。

え、どれがですか?

オケラジ!です。

オケラジ!がパペポみたいですか(笑)?えー、それは初めて言われましたねぇ。

ニュアンスですよ、スタイルというか。喋りが止まらないし、台本もないし、普通に怒ってたりとか、そのノリが。

それは褒められ過ぎですね(笑)。それはちょっと...二人とも憧れの人なので。ちょっと前も上岡さんの映像をyou tubeで探したり。なんであんなに喋れるのかなって思うんですよね。鶴瓶さんの喋りが止まらないのもスゴイけど、上岡さんが一人で喋りが止まらないのは、怖くてスゴイいんですよ。これ、どっから出てくるのかなと。

京都のジャズ喫茶での司会がベースになってるみたいですよね。

そうですね、それが大きいですよね。

ポッドキャストの魅力って何ですか。

人前で目立つための手段だと思っているので、他の方が趣味でされたり、昔ラジオが好きだった人がラジオみたいなことを自分でやれる環境として、そういう人にとってはいいんやろなと思います。昔、自分でテープに録音して学校に持っていって、友達に聞かせたりもしてたんで。便利な、嬉しいツールなんやろなとは思うんですけど、自分ではそう思っていないですね。

ポッドキャスト自体の魅力はまだ解らないですね。ポッドキャストっていうツールは、使い方次第、その人次第なので、やっぱりツールだと思っているので、それで友達増やしたいのかとか、便利なことには変わらないですね。

思っている以上に怖いって言われるのがびっくりしますけどね。会って喋ると全然違うってみんなが言うんで。めちゃくちゃやさしいじゃないですかって言われると、それも腹立つんですけど。

どっちなんですか(笑)。会ったこともないので、番組で聞くオケタニさんしか知らないじゃないですか。番組がパペポのノリだし、100%に近い感じで普段のままやろうなと思ったんですね。

違うと思いますね。じゃぁ普段の自分って何っていう話になるんです。普段、親と喋るときと友達と喋るときって違うじゃないですか。でもそれ、造ってないじゃないですか。中学の友達と高校の友達と喋るときのキャラは違うじゃないですか。でも、自然とやってますよね。自分の中から出てきてることなので、オケラジ!も自分ですし。

自分の中に何面もありますからね。

そうなんですよ。多面的なものだと思うんで。

TPOによって出てくる面が違うだけで。

そうですね。プライベートのオケタニイクロウと、オケラジ!のオケタニとは違うと思うんです。それを意識的に造ってるんじゃないですけど、普段とは違うと思うんですね。居酒屋で飲んでるときに近いです、オケラジ!は。

最後にポッドキャストをこれから始めようと思われる方に、一言いただけますか。

一人で喋って上手くいかなくても、2人か3人でやれば盛り上がると思います。これ常に言っていますよ。ボクの周りで、みんなポッドキャスト始めてるんですよ。オケ鍋っていう鍋会をやってるんですけど、そこで知り合った人同士でポッドキャスト番組やったりしてますよ。

いいですよね、そういうコラボって。

そうなんですよね。

コラボに行き着けなくて、仕方なく一人でやってる人もいるようですね。複数でやる方が楽しいよと。

楽やと思うんですね。 取材してもらったときに、いつも(メッセージは)ないって言ってるんですけどね。誰々に言ってくださいなら言えるけど、誰かわからない人には無責任なことは言えませんって(笑)。

Podcast界隈:ポッドキャストに関わる方々へのスペシャルインタビュー

このコーナーについて

ポッドキャストに関わる様々な方にお話をうかがっていきます。ポッドキャスト界隈からの熱いメッセージをお届けします。

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